2009年11月号日経ホームビルダーにちょっとショックな記事が掲載されていました。
『耐震補強の効果と限界』という記事です。
動画も見れますのでアクセスしてみてください。
耐震補強した建物と、していない建物を並べて阪神淡路大地震級の震度7で揺らした実験結果が載っています。
写真で解るように、耐震補強していない建物の1階部分が完全に倒壊しています。
それでは、補強した建物が大丈夫だったかと言うと、実験後主催者側は
「補強した住宅も倒壊する可能性はあった。非常にきわどい結果だった」と説明しています。
日本建築防災協会発行の耐震補強マニュアル
即ち、何が問題かと言うと、
補強した建物は、日本建築防災協会が発行している耐震補強マニュアルに基づいたもので「評価点1.5」の水準で、このマニュアルでは、『倒壊しない』に当ります。
これは、相当水準の高いレベルです。
評価点1.0で現行の建築基準法同等だとされます。
私も、耐震診断をやっていますが、評点1.5まで上げるのは、至難の技です。
現実問題としては、評価点1.0以上に補強できれば、上々です。
しかし、評価点1.5の建物でも現実は、相当の被害が生じる可能性が高いということです。
そして、本震でこれほどの被害を生じた場合、 『建物を再使用することは、まず不可能』だともいっています。
最後にこの記事では、
この実験は高度成長期に建てられた在来住宅への既存の耐震補強工法について、 「限界」を突きつけたものでもあった。
と結論づけています。
私達は、今ようやく、既存建物の耐震補強をやり始めたばかりです。
しかし、この実験結果をどのように生かして行くかを考えなければなりません。
理想と現実のハザマで・・・
またまた難しい問題が発生してしまいました。
だからと言って、耐震補強する意味が薄れるとは言えない事だけは確かです。
これからの課題として残しつつも・・・
by kakizaki