住宅を解体すると
こんな状況になっている現場がほとんどです。
そして、その黒い部分がグラスウールの断熱材で多く見られるので、断熱材にカビが生えていると思われていました。
しかし、それは、違っていたのです。
日経ホームビルダー2019年8月号によると、
「黒い変色の正体は、大気中の汚染物質や土壌成分を含む浮遊粒子状物質(SPM)が主だった」という調査結果が明らかになりました。
この調査を行ったのは、宮城学院女子大学の本間義規教授です。
カビの培養分析では、対象住宅の断熱材の黒ずんだ部分を39サンプル採取。
22サンピルではカビは培養できなかった。
培養できた17サンプルから検出した黒っぽいカビは、2種類だった。
本間教授は、「これらのカビが断熱材を広範囲に黒く変色させた原因とは考えにくい」とみている。
即ち、多少カビは生えているが、主な原因はカビではなく、大気中の浮遊物質だという結果でした。
実際従来型の住宅は、下記の図にように壁の中を隙間風が流れています。
特に冬の時期は、暖房で室内の空気が暖められるので、その流れは大きくなります。
その隙間風に含まれる浮遊物がグラスウールに付着しているのが黒く見える原因だったという事です。
これは、とても重要な調査で、多くの建築の専門家も見ただけで、勝手にカビと判断していたと思います。
実は、私もその一人でした。
今回の発表は、とても参考になります。
グラスウールの黒ずみは、材質の問題ではなくて、隙間だらけの家の構造から発生した問題だったのです。
隙間だらけの住宅は、グラスウールだろうが、発泡系の断熱材だろうが壁の中は黒ずみが発生するのです。
但し、グラスウールは繊維系なので、黒ずみ方が際立つかもしれませんが・・・
「黒ずんだグラスウールの写真を見せられて、カビが生えやすいから断熱材を変えた方がいいよ」
と勧められたら方は、是非この結果を教えてやって下さい!