1月19日山形新聞朝刊の記事です。
「電気料金激増、がくぜん」
「県内、オール電化住宅は2倍も」
記事によると、米沢市の音楽療法士平間文恵さんの電気代請求額は、昨年の約2倍の
2022年12月分 10万1822円(使用量3182キロワット/h)
でした。ちなみに昨年は
2021年12月分 5万7497円(使用量3071キロワット/h)
でした。
東北電力の電力単価は昨年と変わっていません。にもかかわらず、家庭の負担が増えた最大の要因はなにか。
燃料費の変動を料金に反映する「燃料費調整額」の上限が昨年12月請求分から、自由料金で撤廃されたためです。自由料金とは、電力会社が提案するプランで、オール電化住宅の多くが加入しています。1月の燃料調整額は前年同月比で1キロワット/h当たり12.59円増額しました。
平間さんが採用している暖房は、夜間に蓄熱し、日中放熱する蓄熱暖房器です。
この暖房器は、東日本大震災が起こる前、即ち、原発事故が発生する前に、電力会社が物凄い宣伝をして、広めた暖房方法です。
蓄熱暖房器は、夜間の安い電気料金で暖房器(レンガ)に熱を蓄熱し、日中その熱を暖房として使用するという仕組みです。
何故、夜間の電力が安いかというと、原子力発電は一度運転を始めると、一定の安定した運転をしなければいけません。需要に応じて電力量を調整する事ができない構造になっています。
そこで、夜間余っている電力を利用しようという発想からこの蓄熱暖房器が考えられました。
しかし、新木造住宅技術研究協議会の鎌田紀彦名誉教授は、その当時からこのシステムには警鐘を鳴らしていました。
電力量は、通常の住宅の2~3倍も使用しているのに、電気代が安くなるなんて、数字上のマジックだよ、と。
私も、その当時、蓄熱暖房器や電気温水器を使用するオール電化住宅についてブログを書いていましたので紹介します。
2007年10月16日のブログ「オール電化って本当に省エネ?」
2007年10月18日のブログ「オール電化誤解1『光熱費が安くなるから環境にいの?』」
2007年10月19日のブログ「オール電化誤解2『夜の電気は余って捨てられている?』」
2007年10月22日のブログ「住宅取材記者もなんだか腑に落ちないオール電化」
2008年03月06日のブログ「もし、オール電化にするなら・・・」
2008年03月10日のブログ「オール電化誤解3『オール電化だから環境にいいの?』」
原子力発電が使えなくなり、火力発電がメインになっている今は、深夜電気も以前のように安くありません。そんな時に起こった今回のエネルギー価格高騰は、消費電力の多い従来型のオール電化住宅を直撃しています。
今回の記事は、本当の意味での省エネルギー住宅、低炭素住宅、そしていずれは、カーボンニュートラル住宅を目指していかなければならないという警鐘のように思えます。
ちなみに、平間さんは、この請求書を見たその日に、急いで蓄熱暖房器の電源を落としたそうです。今は、ヒートポンプ式エアコンを室温23℃に設定して寒さをしのでいるそうです。