高断熱住宅に一番向いている暖房器具は?
という質問に回答する前に、少し整理してみたいと思います。
暖房の方法は、熱源別にすると3種類あります。
①ガス
②灯油
③電気
ガスは、便利ではありますが、暖房費が結構掛かるので、余り選択することはありません。
現況で、北国で一般的に多いのは灯油だと思います。
弊社も以前は、灯油暖房機でしたが、最近は殆ど電気に変わってきました。
その大きな理由は、エアコンの性能がとても良くなったことが挙げられます。
10数年前、オール電化と称して蓄熱暖房機がとても流行りました。
蓄熱暖房機は、深夜の安い電気料金を使って熱を蓄熱するだけで、電気の消費量はとても多いものになっていました。
ところが、東日本大震災の原発事故をきっかけに、電気を大量消費する蓄熱暖房機は、見直され、一気にヒートポンプ式(通常エアコンと言われるもの)へと変換されて行きました。
蓄熱暖房機は、1の電気から1のエネルギーしか発生できませんが、エアコンは、1の電気から数倍のエネルギーを発生することが可能です。
エアコンの効率は、通年エネルギー消費効率(APF)で表すことが出来ます。
「通年エネルギー消費効率(APF)」というのは、1のエネルギーを何倍にできるか?というエアコンのエネルギ―性能を表したものです。この数値が大きいほどエネルギー消費効率が優れている省エネエアコンということになります。
通年エネルギー消費効率は、あくまでも計算上の数値で、暖冷房用エネルギー消費量プログラム(QPEX)で計算する場合は、この数字を3くらいにしています。
車の燃費も、計算結果と実際とは違うようにより現実的な数値に置き換えています。
実際に計算する、3倍の電気エネルギーのヒートポンプ式エアコンは、ほぼほぼ灯油高効率ボイラーと変わらない燃費になります。
今後エアコンが、通年エネルギー消費効率(APF)に近い数値に効率が良くなればかなり省エネな機器と言えます。
弊社が採用しているQ1.0(キューワン)住宅レベルになると、計算上は10畳用(5坪用)エアコンで約40坪の大きさ位まで暖房が可能です。
さすがに、エアコン一台で40坪の家全部を暖房するのは、空気の循環上チョット無理があるので、予備としてもう一台併設しています。
エアコン2台で、一年中冷暖房が可能なのです。
エアコンは、今では冷房用にどこの家でも設置しているので、そのまま暖房用として使い設備費を抑えることが出来ます。
但し、従来のスカスカ住宅では、床まで温まりにくく、又風量も強くなり余り快適な暖房とは言えません。
エアコンは、あくまでも高断熱住宅だからこそ採用できる暖房機器と言えます。