今さらのように思うかも知れませんが、
「省エネルギー住宅」
って何だと思いますか?
下記のグラフは、家庭の用途別エネルギー消費を現わしています。
このグラフから読み取れるものは、近年の約50年で、家庭用消費エネルギーが倍になっているという事が分かります。
これは、イメージとして何となく理解出来ますね。
私自身、子供の頃から比べると生活の質が随分向上したなあと実感し、主に電気の消費エネルギーは多くなった感覚があります。
このグラフの中で、省エネルギー住宅に関係する部分は、冷暖房エネルギーです。
冷房エネルギーの割合3.2%
暖房エネルギーの割合25.4%
この二つを比べると圧倒的に暖房エネルギーが大きいのが分かります。
という事は、この暖房エネルギーをいかに少なくするかが、省エネルギー住宅の最大の目的という事になります。
これは、断熱性能の基準として多く掲載されているHEAT20の表です。
実は、ここ酒田市は、2021年4月1日より5地域に変更されました。
基準となるのは、UA値(外皮平均熱貫流率)です。
実は、このUA値は、必ずしも暖房エネルギーと相関関係になっていない事が分かりました。
室蘭工業大学名誉教授鎌田紀彦氏資料
同じ建物をQ値(熱損失係数)計算すると、暖房エネルギーとは、比例の相関関係を示していますが、UA値では消費エネルギーに幅があることが分かります。
という事は、UA値では、暖房エネルギーの比較ができにくいという事です。
それに比べQ値は、概ね実測に合った数値を示しています。
そもそも暖房エネルギーに大きく影響する事項は、三つあります。
①UA値(外皮熱貫流率)
②換気
③日射取得
①UA値について
この数値は、HEAT20の表の様に小さければ小さい程高性能です。
②換気
換気は、室内の暖かい空気を捨てるので換気量が少なければ少ない程省エネです。
最近は、熱を単に捨てないで、熱交換型の換気扇を使って熱ロスを最小限に抑える工夫をしています。
UA値と換気を考慮したものがQ値になります。
UA値計算では、気密性能も考慮されていないので、漏気がどの位あるか分からないのも問題。
③日射取得
実は、これは結構、暖房エネルギーに影響します。
特に北国の地域は、冬の太陽の恵みを最大限利用すると暖房エネルギーは少なくなります。
冬の太陽光は、自然の暖房機なのです。
但し、夏は逆に日射を侵入させない工夫が必要です。
いずれにしても、UA値では、省エネの住宅のレベルが分からないということになります。
困ったものです。
いったいUA値は何のためにあるのでしょうか?
大切なのは、UA値という数字ではなく、実際に消費されるであろう暖房エネルギーを知ることです。
下は、弊社通常使っているQPEX(キューペックス)という暖房エネルギーを計算するソフトデータです。
この住宅の場合は、UA値0.32で、暖房エネルギーは、4352kWhであることが分かります。
年間の暖房の予想電気代は、39177円になっています。
省エネ住宅は、この暖房エネルギーが少ない程性能が良いと言えます。
外皮平均熱貫流率(UA値)で、省エネ性を比較するのは難しいのです。