8月9日のブログで東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科准教授 三浦秀一先生の記事を掲載しました。
先生の紹介したい論文があります。
是非読んで下さい。
『原発と電化』
『東日本大震災によって、原発がわれわれの未来を担うものではないことが鮮明になった。
皮肉にも震災直前の2010年6月に経済産業省は、「原子力発電推進進行計画」を発表し、その副題を「安全と信頼—世界の原子力新時代における日本の挑戦」と銘打ち、原発をCO2を排出しないゼロ・エミッション電源と位置付けた。
原発の推進とともに、電気自動車の開発競争、そしてオール電化住宅の普及と、原発の安全神話と暮らしの電化神話がつくられ、CO2を出さないオール電化住宅が環境にもよいエコ建築であるかのような環境神話までも築きあげらようとしていた。
原発は安全性以外にも根本的な問題を多く抱えている。
放射性核廃棄物の処理方法を定められないまま、見切り発車状態にある。
燃料のウランも近い将来枯渇する。
オール電化住宅がここまで普及した背景に、ヒートポンプによる給湯の電化であるエコキュートの開発がある。
しかし、暖房の電化はヒートポンプのみならず石油やガス以外にCO2を排出する非効率な電熱線式の暖房までをも普及させた。
蓄熱式電気暖房はその最たる例である。
これらの特徴は、給湯や暖房、コンロといった熱利用に電気を使うということであり、これが電力にとっては新規需要開拓になってきた。
しかし、ヒートポンプも従来の電気暖房や電気温水器に比べれば効率はいいものの、電気そのものが化石燃料や原発でつくられている以上、その検証なしに、CO2削減対策とは言えない。
そして、もう一つの問題は原発立地の問題である。
原発はその電力を使うことのない、遠くの過疎地にその触手を伸ばした。
日本の一極集中、中央集権型の国家形成は、原発というエネルギー供給体制にも持ち込まれた。
そして、地方がその犠牲になった。
また、大規模集中型のシステムは、有事の際極めて大きな被害を出す脆弱なシステムであることも明らかになった。
好対照にインターネットやツイッターのような有機的な小型分散型ネットワークが機能した。
原発はこうした日本の硬直した古いシステムを象徴するものとなった。』
いかがでしょうか。
私は、先生の意見に大賛成です。
常日頃言いたいことを、先生が高い見地から意見を述べられています。
胸がスーーーートとしました。
盲目的に、原子力がいい、オール電化はいいと言ってきた電化政策を見直す必要があります。
それでは、どうしたらいいんだ!
次回は、その道しるべを述べている論文を紹介します。
by kakizaki