住宅の長持ちの秘訣は一体なんでしょうか。
実は、2005年の夏に約90年前に建設した建物の改装工事をしました。
場所は、鶴岡カトリック教会の司祭館の食堂部分です。
カトリック鶴岡教会天主堂(1903年建設)
天主堂隣にある司祭館(1913年建設)
司祭館の食堂部分の改装工事(2005年)
食堂部分の改装工事の状況
台所完成
私は、この工事を通じて思ったことは、木造は、結構耐久性があるんだなーということです。
確かに、お風呂周りの土台などは、多少の腐朽は、ありましたが、建物全体としては、まだまだ使えるのです。
私が、一番驚いたのは、外壁です。
外壁材は、木材で、この約90年間に何度も、塗装をして、メンテナンスは、していますが、しっかりと、外壁の役目をこなしていました。
当然、昔の建物ですから、通気層なるものは、ありません。
しかし、外壁が、木材ですので、湿度の調節を外壁そのものがしているようです。
自然素材の素晴らしさが、こんな所にも、見え隠れしています。
現在の外壁は、窯業系サイディング、板金、モルタルなど、確かに防火・防水を考えた場合は、優れているかも知れませんが、通気層のない建物の外壁が、一度ひび割れなどで、雨水が浸入すると、いつまでも蒸れて乾燥しない状態がつづきます。
その点、木材は、仮に雨水が侵入しても外気と共に乾燥をしていきます。
この辺のことを考えると、耐久性は、メンテナンスしだいでは、むしろ木造のほうが、優っているような気がします。
私は、住宅の長持ちのポイントは、湿気だと思います。
近年の、外壁材を使用する場合は、下記のような、しっかりと通気層を取る必要があります。
この通気層によって、外壁からの雨水の浸入をかなり防ぐことができます。
5月19日のブログで白蟻の被害にあった住宅を紹介しました。
結局、あの現場も、外壁からの雨水の浸入に伴って、湿気を好む白蟻たちが建物に群がったのが原因でした。
仮に、雨水が浸入しても、外部の雨水を外に出す工夫をすれば、建物そのものの寿命は、格段に上昇します。
よく、住宅の強度を増すために柱を太くしている住宅メーカーがありますが、無駄とは言いませんが、太い柱でも、腐ってしまったら、何の役にもたちません。
太くすることにお金を掛けるより、建物の湿気対策と、バランスを考慮した耐震性を考えたほうが私は、良いと思っています。
by kakizaki