“期待を裏切る”家づくり物語 15

コチラのお宅のテーマは、
「南の光が差し込む 陽だまりの家」当社で新築工事をしたご主人のお友達の紹介で、完成内覧会にお越しいただくようになったお施主様ご夫婦。
5年前に初めてお会いした時、ママに抱っこされていたかわいらしい赤ちゃんは…
今では、小さな弟の面倒をみる頼もしいお姉ちゃんになりました。
そのお姉ちゃんが来春、小学校に入学することもあり、アパート暮らしを卒業しご主人のご実家へ戻ることにしました。
ご実家の広い敷地内に、家族4人で暮らすための別棟を新築することになりました。

ご実家の敷地内に建築

ご主人のご実家のある酒田市落野目地区は、春には地区をあげて盛大なお祭りがあるような昔ながらの土地です。
街中の住宅街と比べ敷地が広いので、既存の母屋や車庫が建っています。
その建物を残しても、4人家族の住む家は十分建てられる余裕がありました。
そこでお施主様ご夫婦が選んだのが「敷地内別居」でした。
生活の基盤は別ですが、数歩で行き来できます。広い敷地の中で母屋との位置関係を考慮し、母屋の南側、畑として利用しているスペースに建築することになりました。プランニングの際は、ご両親からのアドバイスを受けて、玄関の位置を変更したりもしました。
冬期間は母屋との間に雪が積もりやすかったり、雨になると水が溜まりやすい場所…
などその敷地に実際に住んでいるご両親のアドバイスは、重要なことばかりです。ただ、配置上どうしても母屋とアプローチ部分が重なってしまいます。
「敷地の南側は道路に面しているので、お庭での物干しもちょっと抵抗があります。」
そんな奥さんのご要望から…日当たりの良い2階のホールは室内の物干し室を兼ね、そこから出入りできるベランダもなるべく広く設計しました。晴れた日には、周りの視線を気にせずに思いっきり洗濯できます。
このベランダの広さならプランターを置いたりデッキパネルを並べたり、自分たちだけのお庭づくりにも挑戦できそうです。

並んだ南窓のワケ

ご夫婦が新しい家で叶えたい一番の希望は「明るくて居心地の良い家にしたい。」でした。そのため、南に面した窓はできるだけ大きく取りました。
玄関ホールにもLDKの窓と同じサイズの大きな窓を設けました。
玄関のある東側の外観はこのように窓が少ないので、一見暗そうに思われるかもしれませんが…南窓だけでも十分な明るさがあります。
リビングの引違い窓と並んだFIX窓(はめ殺し窓)は、打合せを進める中…
奥さん「リビングの窓をもっと大きなサイズに変更できませんか?」
ご主人「リビングで過ごす時間が一番長いですから、窓も大きく取りたいです。」
と要望があり、追加しました。
完成してみると…これは、実に効果的!晴れたの日のリビングは明るく南からの光が差し込み、このお宅のテーマにあるような『陽だまり』が出来ます。

リビングと続き間になっている客間も…南に面しているので、下のお子さんの日向ぼっこには最適のスペースに。
客間と言っても、間仕切りになる建具を取りつけるのは必要になってから…あらかじめ建具が取りつけられるように作っていますが、今のところは、リビングの一角にある畳コーナーのイメージです。
この先しばらくは、お子さんがお昼寝したり、遊んだり、宿題をしたり…
とフル活用することになりそうです。奥さんが立つことの多いキッチンからは、よく目が届きます。
キッチンに立つと…このようにリビングと客間の両方が眺められます。

収納はたっぷりと

アパート暮らしをする中で、収納が足りないことが不満だった奥さん。
新しい家では、収納スペースをしっかりとりたいとのこと。
その中でも奥さんが、特にこだわった玄関周りの収納は、とても充実しています。玄関の中は、ホール側とシューズクローク側の2つのスペースに分かれています。
ホール側は…3枚引戸になった1.5帖の収納と…通勤バッグや鍵、お子さんたちの通学・通園に必要なものなど、毎日、お出掛けの際に持っていくものを置くための棚を造りました。シューズクローク側には、棚板の高さを自由に変えられる可動棚になった下駄箱と…日用品の買い置きを収納できる棚があります。
こちらの建具は、キッチンへと続いているので…《食料品を買って荷物が多い時》
《ゴミ出しの日》
などリビング側を通らずに玄関と行き来でき、勝手口のように使用できる便利なシューズクロークになりました。
このように、ぐるっと回れて使い勝手の良いキッチン。
新しい家では、お子さんと一緒に料理できるのを楽しみにしている奥さん。
奥さん「子どもと並んでキッチンに立ちたいです。」「キッチンをすっきりさせたい」と奥さんからのご要望。
背面にある造り付けの吊戸棚と、キッチン前の腰壁にスパイスなどを置くためのニッチを設けました。キッチンの正面のダイニングスペースには、奥さんが選んだ円錐形の照明が2つ並びます。三角フラスコのような形をしたシンプルなデザインですが、木製と銅製で出来ている部分の素材感の違いが目を引きます。
小さな真四角のニッチが並ぶ階段をのぼると…2階ホールには、読書が趣味のご主人のご要望で設けた、文庫本が並ぶサイズのニッチがあります。
物干し室を兼ねたホールは、廊下よりも広いので、日当たりの良い場所にイスを置き、読書も楽しめそうです!そして、ご主人のもう一つの希望が、書斎。ご夫婦の寝室の一角に、TV台兼パソコンデスクとして、テーブルと本棚を造り付けしました。
造り付けの棚や机…
何色にしようかと、ご夫婦が悩んだ塗装色はダークブラウンで統一。
日差しがたっぷり入るこの家、光を反射しやすい白色の内装部分が多い中で、室内の印象を引き締めてくれる色ですね。

母屋に住むご家族も参加された地鎮祭は、
5月の終わりの気持ちよく晴れた日でした。 あらかじめロープで建物の配置を表わしていた地面を指差し、
「実は、こ
こが玄関、ここがキッチン!って言いながら歩いてみました!お家が完成するのが、今からとっても楽しみです!」
とおっしゃっていた奥さんの笑顔が、印象に残っています。7月に行った上棟式では、ご家族、ご親戚、ご友人、ご近所の方々…お施主様の新しい家が出来あがるのを楽しみにしている、たくさんの人が集まっていました。ご主人が生まれ育ったご実家の大きな敷地を活かして建築した、4人家族にちょうど良い35坪4LDKのお家が完成しました。