酒田市D様邸 愛着のある家で迎える、新たな暮らし―セカンドライフリノベーション
ご主人=主 奥さま=奥 インタビュアー:柿崎=柿
【お客様】D様
【住所】山形県酒田市
【引渡し】2024年3月
【インタビュー】2025年2月3日
◆偶然手に取った一冊の本との出会い
柿:リノベーションをしようと思ったきっかけから教えてください。
主:ここに家を建てて30年が経って、いろいろと不具合が出てきていて。子どもの独立や家族の介護もあったので、「ゆくゆくはリノベーションしようかな」って感じでした。
退職が近くなってきて、「そろそろ準備を…」と思って行った本屋で新住協(新木造住宅技術研究協議会)の『南東北の高断熱住宅』という雑誌を見つけて。
「すぐ近くにもあるじゃないか!」ということで、まずはコスモさんに相談しました。
柿:本がきっかけで相談に来てくれたんですね。
主:今考えればそうですね。
私が一番気になったのが、断熱と気密でした。湿気の問題などを考えるうちに、「今の新しい住宅ってどうなっているんだろう?」という興味が湧きました。
◆コスモホームに決めた理由
柿:「夏暑くて、冬寒い。快適に暮らしたい」と話されていました。
主:高気密高断熱に興味があって、環境ネットやまがた主催の省エネ住宅基礎講座に参加しました。とにかく情報を集めて、勉強したいと思っていました。
柿:東北芸術工科大学の三浦秀一教授の講義でしたね。私も事例紹介で発表させていただきましたが、講座に参加してみてどうでしたか?
主:高断熱住宅の住み心地を三浦先生ご自身の体験から教えてくださったので、とてもわかりやすかったです。
私は理解してからでないと前に進めない性格なので、新築住宅の展示場やリノベーションの展示会にも足を運びました。
柿:リノベーションも新築も、住まい手であるお客様が勉強することが大切です。
省エネ住宅基礎講座の見学会は、弊社が施工していた鶴岡市の現場でしたが、いかがでしたか?
主:「これでやってみよう」ってつもりで考えていました。構造体を見て理解はできたとしても、どんな住み心地になるのかは見るだけじゃわからない。本や映像では理解できることと、現場に行って初めてわかることもあると思うんです。
結局のところ住んでみないとわかりませんが、今こうして住んでみて、良い環境が整ったと感じているので、結果的に正解だったと思います。
柿:「これで…」と思った決め手はどんなところでしたか?
主:理解して、信頼できたからですよね。
様々な情報を教えてもらい、納得できることがたくさんあったので、「じゃあこれでいこうか」って。
付加断熱と基礎断熱をしてもらいましたが、特に基礎断熱についてはどうしてこれで断熱になるのか疑問がありました。そういう疑問にも、理解できるように教えてくれたんです。聞けば答えてくれる。質問をしても中身のない説明をする人は、ちょっと信頼できないと私は思います。ちゃんと理解して、考えてやってくれている設計なのかどうかが重要です。
私たちの決め手は、信頼できるかどうかでした。
最終的にコスモさんに決めたのもそのためです。多くのやり取りが本当にありがたかったです。
柿:じっくりと考えていただけたのは、私としてはむしろありがたかったです。私たちも相手のことを理解しないと提案ができないですから。
それには時間をかけて、会話を重ねるのが重要ですよね。
奥:しっかりとお話ができて、応えてくれる会社を選ぶことが大事だと思います。新築と違って、既にある家をそれぞれの状況に合わせて作り上げるには多くのノウハウが必要だと思うんですよ。
常に情報や知識をアップデートしていなければならないことだと思います。
主:柿崎さんは「基礎知識がないとリノベーションはできない」と話していました。ちゃんとわかっているから、「こうしよう」「ああしよう」という提案ができる。
「これしかできません」「これでやります」と言われると面白くありませんよね。
柿:リノベーションは間取りも建材も、やりたいことも違う。その都度変えていかなきゃならないわけです。臨機応変に組み合わせることが、施工者として大切だと思っています。
奥:「それはやめたほうがいい」「無理なことは無理」と正直に言ってくれることが大事でした。話を聞いてもらって、提案を受けて、それに対して質問や希望を伝えて、また提案をもらうというやり取りを何度も繰り返しました。
皆さんの手間と知識を総動員して作ってもらったと感じています。主人とも「ありがたいね」と話したことがあります。
主:私たちの要望を多方面で聞いてくれたのが良かったです。こうして出来上がってみて、やっぱり想像以上ですよ。私たちが思っていた以上に、いいものが出来ていた。
コスモさんのホームページにもある”期待を裏切る“って、こういうことなんですね。
だから満足、大満足です。
信頼できたからこそ、こうして作り上げることができたのだと思います。
柿:お客様が本当に欲しいものを考え、ヒアリングしたことをそのまま提案しないようにしています。言葉で表現しにくい空間や快適性、見た目なども重視して、「ご主人はこう思っているのでは?」「奥さんはこうしたいのでは?」と想像しながら進めるスタンスを大切にしています。
◆機能的で、体に良く、健康に良い家をつくりたい
奥:見た目よりも、「機能的で、体に良く、健康に良い家にしたい」という思いが一番でした。もちろんインテリアや間取りも大事ではあるけれど、何より「そこにいると気持ちいい」家が良いと主人と話していました。
リフォームをして、本当に心地よい空間になりました。
柿:間取りと言えば、ご主人は当初階段の位置を変えるなど色々と考えておられましたよね。
二世帯住宅で、二階にはDさんご夫妻とお子様たちが暮らしていましたが、今は二人暮らしとなり、一階を生活の中心にしたいということでした。
何回かプランニングをしましたが、いかがでしたか?
奥:リノベーション前は、隣に車庫が建っているからリビングダイニングに光が入らないし、西日がとても強くて、暑くなる。お風呂場は北側にあって寒さと結露が気になる。そういうところを改善できればいいなぁと。
主:正直な話、私は何ができるかできないかがわかりませんでした。
階段を動かすとか、どこの柱を抜くとか全くわからず、すべて簡単に投げかけちゃって。それがどれほど大変なことか、できるかどうか、費用もわからずに言っていました。
それを一つずつ教えてもらいながら進められたのは、とても良かったです。
奥:すごく丁寧に進めてもらえましたね。
主:柿崎さんは全て受け入れてくれるじゃないですか。
私の希望としては柱を抜きたかったのですが、ここを抜いたらどうなるかなど、いろいろなことを教えてもらって納得しました。
柿:間取りに関してもいろいろ相談しながら進めることができたかなと思います。そういったやり取りもご満足いただけたようで良かったです。
一番考えたのは、二間続きの和室の活用でした。この和室は家の一番良い場所にあるので、ここをLDKにすることを提案しました。キッチンからダイニングやリビングで寛いでいる時の視野を特に考慮してプランニングしました。
お庭に向かって対面式のキッチンを設けるなど、この辺りは奥様の動作を意識してプランさせていただきましたが、いかがでしたか?
奥:キッチンで水仕事をする時に孤独感がないのが本当に良いです。
キッチンに立つということは、それだけを取り立てて「さぁやるぞ!」というわけじゃなくて、自分の生活の中のひとつ。オープンな間取りになったことで、私の生活に自然に組み込まれている感じです。
小さなお庭でも、外が見えるのはとても良いことだと感じます。
◆“住んだまま” リノベーションの裏話
奥:二階に住んだままリノベーションしてもらえたのも、すごく大きかったです。
引っ越しをしなくて済んだことがとても助かりました。別の場所に引っ越して暮らすのとでは全く違うので。それが最高に良かったです。
柿:住んでいる家をリノベーションする時はそこが悩ましいですよね。住みながらの工事に抵抗はありませんでしたか?
奥:私は全く抵抗なかったです。それどころか楽しくてしょうがなかった。
あの頃は午前中に仕事をしていたので、職人さんたちに「いってきま~す!」って声をかけて出かけました。なんだか楽しかったです。
柿:工事が進んでいく中で、今までと違うと感じるようなことはありましたか?
主:一番感じたのは冬ですね。
柿:去年の3月にお引き渡しをしたので、その頃はまだ工事中でしたね。サッシが入って、外側は合板で塞いで、外壁工事が終わったか終わらないかくらいの頃ですね。
主:リノベーション前は外気温と室温が同じだったんですが、起床後一階に降りると室温が10度もあったのには驚きました。
その日は外気温が0度くらいで、「まだ工事の途中なのに10度もある」っていうのは驚きでした。こんなに違うのかって。一番感じたのはそこですね。
工事の様子が全部見られて、「こういう風になっているんだ」と知るのも面白かったです。
奥:工事中の家に住んでいるからわかることでしたね。二人とも工事の過程を楽しめていたかなって思います。
◆太陽を味方にして、酒田の冬を暖かく過ごす
奥:寝室のプランを見た時、私は当初すごく抵抗があったんです。
窓が小さくなって、西側の大きな窓がなくなるのが気になって。でも、実際に暮らしてみると、西日がきつかったあの部屋が「夏でもこんなに涼しいんだ」って。窓の大きさも防犯面でもちょうど良いと感じました。
暮らしてみて初めて「なるほど、こういうことだったんだ」と実感しました。
柿:私たちがそれを提案した時は、心配だったということですね。
奥:私は自然光がたくさん入るのは良いことと思っていたので、提案にどこか心配があったわけです。でもよく考えてみれば、西側の窓は主にカーテンを閉めていて。朝に開けて、午後からはもう締め切っていました。それを思えば、壁でもあまり変わらなかった。
窓はあればいいってわけじゃなくて、住みよい環境を作るための窓じゃないとね。
二階の西側の子ども部屋も窓を小さくしてもらいました。西日は入りますが、随分軽減されました。
柿:ガラスも日射遮蔽タイプを選んでいますから、以前に比べて遮熱性がよくなっているはずです。
奥:そういう対策を施した窓ガラスは随分違うんだなぁって。
柿:西日対策をしっかりすれば、快適に過ごせるようになるんです。
西日に限らず、近年は夏の日射しが厳しくなっています。
設計する時に注意しているのが、南側と北側の光を中心になるようにすることです。南の窓を大きくして、できるだけ冬の日射を取り入れられるようにしています。
私は太陽は暖房器具だと思っています。
奥:冬に一日中じゃなくても、太陽が時々顔をだしてくれれば、リビングに日が差し込んできます。これが暖かくて、本当に暖房器具なんです。
お天気がいい日は、暖房器具を使わないで過ごす日もあるんです。
主:今頃の時間帯はもう最高でしたね。暖かくてすごく気持ちいいんですよ。
奥:酒田の気候に合わせて、生活を楽しめるようになりました。
柿:まさにそれが目的です。エコな太陽のエネルギーを利用できるといいですよね。それには窓が必要ですが、窓には熱が逃げる、熱が入り過ぎるといった難点もあります。
一見すると従来と同じような窓に見えますが、技術が進んで、冬の日射を取り入れるガラスも開発されています。
実は、南側と他の面とでガラスの選び方を変えているんですよ。ガラスの種類を理解せずに選ぶと、自然エネルギーを上手く利用できなくなってしまいますから。
奥:冬が寒いのは当たり前と思っていたのに、リノベーションしてから不思議なんです。
以前なら20度以下で「寒い!」って感じていたのに、今は室温が17~18度でもあまり寒いって感じないの。
もちろん、冬なので暖かい服を着ているっていうのもありますが、柿崎さんにその話をしたら、「温度差が少ないからですよ」と言われました。これがそうなのかもなぁと思いながら過ごしています。
柿:人間が感じる温度、例えばこの部屋の温度が20度だとすると、リノベーション前は窓の周りは10度、暖房器具の周りは30度近くになっていたでしょう。熱い空気と冷たい空気が混ざり合って20度になるからです。
リノベーション後は同じ20度でも、部屋のどこでも均等に20度になっています。そのため、同じ20度でも体感がリノベーション前とは全く異なるのです。
奥:そういう見えない心地よさ。
意識することもないんだけれども、意識せず体が感じている心地よさがあるんだろうなって。
主:感じない心地よさがあるんですよね。さりげないというか。本に数値などが書かれていても、数値の良さと心地よさは必ずしも一致するわけではないんじゃないかと思っていました。
でも今は、こういうことなんだろうなって思います。
湿気、温度、気流…そういうのをトータルで考えることが『心地よさ』に繋がるんですね。
柿:リノベーションされた方だからこそ分かることがあると思うんです。
以前の住宅の住みにくさや温度差、湿気などの問題を体感してきたからこそ、同じ家に住み続けてビフォーアフターを実体験できたのです。
30年間住み続けたからこそ、今のお話が伺えるのだと思います。
奥:子どもたちの成長や両親の体調に合わせて、室内の小さなリフォームは何度かしてきました。
リノベーションは見た目を変えたり、使いやすいように付け足したりするイメージがあったんです。
だけどそれだけじゃないんですよね。構造体がしっかりしていると、見た目だけでなく、住みやすさも違うんだなぁって。
主:住環境をどう変えていこうかという中で、新築も考えたんですよ。新しい家を建てるイメージはある程度できるなと思ったんです。
しかし、リノベーションでどこまでできるのかっていうところを理解したところで、「リノベーションしよう」という結論に至りました。
◆同世代でリノベーションをしようかどうか悩んでいるひとへ
主:私たちのようなリノベーションは、ぜひ勧めたいと思います。
やっぱりこの年齢になったからわかるところもあるのかもしれない。この先の人生を考えると、安心して歳を取っていくためにも住環境って大切だなって思います。
奥:家にいる時間が長くなるからね。
主:年齢っていうのは大きいですよ。
これが多分、70歳や80歳になってから「リノベーションしよう」とか、仮住まい生活や荷物の移動などを思うと、そういうパワーはないでしょう。
今でよかったと感じています。
柿:タイミングとしては60代?
主:ライフスタイルが変わっていく60代で取り組むのがおすすめですね。
今後の自分たちの状況を考えた時に、これからの住まいをどうするかを考える良いタイミングだと思います。
柿:若い現役世代とはまた違って、限られた予算の中でリノベーション費用をどう工面するかも考慮しなければならないところです。
費用面についてもできるだけ意向に沿った提案ができればと思っています。
今回は“長期優良住宅化リフォーム推進事業”という補助金を利用しました。こういった制度の利用は初めてだったと思いますが、この点についてどのように感じられましたか?
主:「基準をクリアすれば、補助金も受けられるし、住みやすい家にリノベーションができますよ」って提案してもらいました。
私たちはこれから老後の生活になりますからね。助かりました。
奥:申請書類の控えを受け取りましたけど、難しそうな分厚い書類でした。あれを全部揃えて、向かっていただけるなんて、本当にありがたかったよね。
柿:利用可能な補助金などを最大限に活用し、適切な提案を心掛けています。
ただし、これはケースバイケースです。タイミングや工事内容に合わせて、最適な補助や助成を受けられるよう努めています。
奥:思いをしっかりと伝え、返してもらうことで、一番良い着地点を見つける。
それができれば、自分たちが思い描く形ができあがってきます。
私は色々とわがままを言いながら、楽しんでリノベーションを進めることができました。
コスモさんへ相談に行く時と、気づいたら「もうこんな時間⁉」って感じで。そういった時間も大切にしてもらえたことに感謝しています。
思いを伝えて、関係を築くことが一番良い形に繋がると感じました。
主:リノベーションを検討されている方は、ぜひわが家を見てください。でも、できたものを見るだけでは、本当のところがわからないことも多いです。
口コミってわけじゃないけど、私が感じたコスモさんの良さについて話しています。
柿:地元で長く商売を続けるためには、正直にやることが重要だと考えています。
それが私たちの評価になっていくと思っています。
主:だから、『出来上がって終わり』という関係じゃなくて、これから先もまだまだ繋がりながらいけたらなって思っています。
柿:もちろんです。一棟一棟工事をして、完成後にこうしてお客様を訪問できることは非常に嬉しいです。
Dさんから当初から断熱改修と耐震補強をしたいと聞いていましたが、リノベーションの大きなポイントはこの二つだと思います。
耐震への関心は年々高まっていますが、それに見合った費用もかかります。場合によっては部分的な断熱や耐震を提案することもありますが、フル断熱にすると効果をより実感できると思います。
貴重な体験をたくさん共有できました。リノベーションならではのお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。