酒田市H様邸「木と肌がふれあう家」

ご主人=主 奥さま=奥 インタビュアー:柿崎=柿
【お客様】H様
【住所】山形県酒田市
【引渡し】2002年3月
【土地面積】61.85坪
【延床面積】31.55坪
【熱損失係数Q値】2.6[W/㎡K]
【相当隙間面積C値】0.39[㎠/㎡]
【インタビュー】2025年7月19日
◆紹介から始まった、わが家の家づくり
柿:Hさんとはもう20年以上のお付き合いになります。
新築から20年を過ぎたお客様へインタビューをするのは、実は今回が初めてです。今日はその長いお付き合いについて、家づくりを始めた当時の思いや、これまでのことなどを交えながらお話しいただければと思います。
こちらのお住まいは、2002年3月にお引渡しをさせていただきました。私たちコスモホームにとって、三棟目の新築でした。
家づくりのご相談をいただいたのは、2001年頃でした。
奥:子どもが生まれたくらいの頃でした。柿崎さんのお子さんたちもまだ小さくて。
主:柿崎さんの自宅の2階に事務所があって、打合せの時は柿崎さんのお子さんと一緒に遊んでいました。
奥:子どもを寝かさせてもらったこともありました。懐かしいですね。
柿:会社を立ち上げたばかりで、恥ずかしながら当時は自宅の一室が事務所でした。
Hさんは土地探しからの家づくりで、造成前のこの土地を見ておられました。コスモホームを知ったきっかけは、ご友人からの勧めがあったんですよね。
奥:住んでいたアパートの結露が酷いのが本当に嫌で。それに、子どもたちが入園するタイミングで引っ越せたらいいなと考えていました。
主:今が家を建てる時だと思って、建築関係の仕事をしている友人に相談したら、「お前に適任の会社を紹介する!」ということで、コスモホームを知りました。
そして、最初の打合せで「ここに頼もう」ってすぐに決めました。
柿:あまり悩まずに決めた、ということですか?
奥:主人がここに頼むって、迷いなく言ったんですよ。
信頼している友人の紹介ということもわかっていましたから、私も自然に受け入れました。
それに、コスモホームの家は結露しないって話を聞いて、私自身も興味を持ったんです。
主:紹介された時に、「お前も変わってるけど、社長も変わってる」って言われて。
彼は自分が「絶対いい」って思わないと、私に何かを勧めるような人物じゃないんです。あの時も、自信を持ってコスモホームを紹介してくれたんだと思います。
友人も変わっている人だから、彼を納得させる柿崎さんってどんな人なんだろうって思いました。
◆家づくりの相談相手は、まるで近所のおっちゃんだった
主:何度か打合せに行くようになった頃、一棟目の完成内覧会に行きました。
「一年ぐらいかけて進めていきましょう」「今のうちに少しずつ貯金をしましょう」なんて話もされながら。
奥:最初にお金の話をしてくれたのが、安心感につながりました。
「このくらいの金額の家を建てたら、月々約〇〇円の支払いになります。今のアパート代に△△円を足して、まずは貯金してみてください」と、具体的な数字を出してくれて。
それで本当に生活できるか、実際に試してみたんです。
柿:シミュレーションを、実践してくださったんですね。
ちなみに、初めて会った時の印象はいかがでしたか?
主:聞いていた通りの人だなって思いました。高気密・高断熱なんて、他社ではまったく聞いたことがなかったですから。
実は、坪単価の話になったとき、親から「高い!」「払っていけるのか?」って驚かれたんです。でも、「こういう理由で高くなるんですよ」と、柿崎さんがちゃんと説明してくれて。納得したうえで、「コスモホームでやる!頑張るから」って言いました。
それに、柿崎さんと話すのが面白かったんですよ。“近所のおっちゃん”みたいな感じ。普通に話ができるのがとてもよかったです。
柿:それまでの二棟とは、まったく違う家を作りたくて、知恵を絞りました。
「二人にぴったりのものって何だろう」「この家だけの特別な形にしたい」そんな気持ちで、何度も話し合いました。
この建具もそうです。これは初めて造作した建具でした。天井を晒して見せるこのやり方も、初めての試みでした。
今は『期待を裏切る最高の提案』と表現していますが、『こだわりを持った家づくりをする』という志は、あの頃から何ら変わっていません。
奥:この床も初めてだったんですよね。
柿:そうです。杉の無垢板を選びました。実はこれ、ここでしか使っていないんです。
主:「年数が経つと隙間ができて、昔の体育館みたいになるよ」って当時言われたんですよ。
ただ、冬でも裸足で全然冷たくないからとも。
初めての冬、本当に冷たくないのにびっくりしました。冬も裸足で過ごしていますよ。
柿:この家のテーマは“木と肌がふれあう家”ですが、まさにそれですね。木特有の肌触りと床下暖房とで、より暖かさを感じていただけているわけです。
奥:若くてお金もなかった時だったから、「これ以上は費用を掛けられない」って伝えたら、それにも丁寧に答えを探してくれて。「ここをこうしたらできるかも」って、相談に行くたびにアドバイスしてくれたので、結果的に変な妥協をせずに済みました。
柿:基本的な構造や性能に関わる部分は、当時も譲れない部分だと考えていましたから、他の部分で調整できるところがないか、いろいろと検討しました。
主:でもあれは衝撃的だった。
柿崎さんから「家を見に行って、どんな照明を使っていたか覚えてないでしょ?」って言われて、確かにそうだなって。
「今はそこにお金を掛けなくていい」って言われて納得しました。
柿:そこで、住宅で採用されることはあまり多くはない、直管蛍光灯器具を提案しました。
こういった提案を理解してくれるお二人に出会えたことは、本当にありがたいご縁でした。
◆“木と肌がふれあう家”に暮らして
主:この水槽専用の棚、気に入ってるんだよね。
アパートの頃も金魚を飼っていたから、新しい家でも水槽は絶対置きたかった。水槽は割れたりして当時の物とは違うけど、サイズは同じにして、使い方もずっと変えてない。
水槽って、台とか玄関の下駄箱の上に置かれがちで、ちょっと出っ張ったりするじゃないですか。ああいうのがないのがいい。この空間に馴染んでる。
段差を活かした階段下の収納もね。
奥:当初の計画にはなかったけど、「ここを収納にしてみては?」とアドバイスをもらいました。
建てる前だけじゃなくて、工事が始まってからも提案してくれましたね。
柿:私たちができること、つまり“売り”というのは、既製品をそのまま買ってきて設置する、というようなスタイルではありません。当時は材料費もそれほど高くなかったので、ちょっとしたアイデアや細工で柔軟に対応ができました。
このサイズ、この仕様は、この家だけのもの。そんな“特別感”や“手づくり感”を大切にして、お二人のための家づくりを、私たちなりに目指しています。
主:あの飾り棚もね。窓みたいな抜け感のあるデザインすれば、キッチンからリビングが見渡せて、子どもたちの様子がわかるようになるからって。
奥:和室の戸もね、なるべく出っ張らないように壁の中に引き込めるようにしてくれて。開けておけばリビングが広く感じられるし、来客のときは閉じて使えるようにって。
主:実際、普段はほとんど開けっ放しだけどね。
あの襖のデザインも柿崎さんだよね。これにしちゃダメですかって。
奥:そうそう、斜めのデザイン。見たことないデザインだなって思った。
主:このドアハンドルも。事務所にあったのは赤だったけど。
柿:よく覚えていらっしゃいますね。
奥:もちろん覚えていますよ。扉自体の色やデザインは違うけど、同じハンドルだって見ていましたから。
主:2階の明り取りのポリカーボネートもね。小さな子どもにガラスは危ないから、これで作ったらどうかって。
奥:コスト面でもその方が良かったし、透けて見えるならそれもいいねって。
柿:そうそう、いろいろ工夫しました。
ウッドデッキも、一緒に作りましたよね。今お使いのは二代目ですか?
主:これは3~4年前に私が作った三代目です。
奥:ウッドデッキにビニールプールを出して、よく遊びました。ちょうど影になって、通りからも見えなくて、使い勝手がいいんですよ。
◆あの日の選択が、今の安心につながっている
柿:長くお住まいになってみての暮らし心地、どのように感じていらっしゃいますか?
主:大前提として、結露しない家に住みたいっていうのがありました。
今まで住んでみて、それを含めて問題も一切ないし、快適に過ごせています。
柿:高気密・高断熱の家は、室内の温度差が少ないので結露が起きにくいんです。
その分、エアコンの使い方にも違いが出てくると思いますが、どのように使われていますか?
奥:冬は床下暖房を使っていて、だいたいはこれだけで暖房しています。どうしても寒い時には、リビング続きの和室にあるエアコンをつけます。
2階には新築時にエアコンは設置せず、後から付けられるようにしてもらいました。数年前に夏の暑さ対策のために設置しましたが、使うのは夏だけ。
寝るだけの空間というのもあるけど、どこに居ても極端に寒いということもないから、つけなくても大丈夫なんです。
主:住んでみて、「なるほど、こういうことか」と思いました。
私はコスモホームを「信じた」というより、「一緒に家をつくった」という感覚です。
話しながら進めていくのも面白かったし、完成してからも「やっぱり頼んでよかった」と思えたから。
奥:私もずっとそう思っています。
他のお宅に伺うと「素敵だな」と思うこともありますが、やっぱり私はこの家が一番。
足元まであたたかくて、帰ってくるたびに「うちっていいな」って思えるんです。
柿:今こうして、お客様から喜びの声をいただけるようになって、創業時の信念が今につながっているんだなと感じます。
奥:一生懸命ですもんね。本当に私たちのことを思ってくれているのが伝わってきます。
柿:それは今も昔も変わっていないでしょうか?
奥:ずっと変わらないですね。もし変わっていたら、私たちはきっと自然と離れていったと思います。
主:年数が経つと疎遠になることも多いじゃないですか。「建てる時だけ一生懸命で、あとはもう…」みたいな話も聞きますよ。
奥:リフォームを考えていても、建ててもらった会社とはもう関わりがなくて、新たにリフォーム会社を探すことになるみたい。
そういう話ばかり耳にするので、住宅会社との関係性って「そういうものかぁ」って思って。
今回、お風呂を新しくする話をした時も、「どこに頼むの?」って聞かれて。「新築した時の会社」って言うと、「えっ、建てたところで?」なんて驚かれました。
ちょっと不思議な気持ちになりましたね。
主:家を建てた会社が、この家のことを一番よくわかっている。だから任せようっていうのもあります。
柿:今でも、この家のことは概ね頭に入っています。だからこそ、自信を持って「任せてください」と言えます。
◆何年経っても、頼れる人がいる
柿:先日、浴室のリフォーム工事が完了しました。
主:もっと早くにいろいろ手を入れられたら良かったんだけどね。
新築の時に「家具やキッチン、それこそお風呂なんかは後から交換できる。その時にもっと立派なのを選べばいい。でも建物はそう簡単に建て替えられるものじゃないから」って言われて。確かにそうだなって思いました。
といっても、今もそのまま使っているんですけどね。
奥:そこまで不便もないしね。だから新築時のまま使っているけど、お風呂はかなり悩んだ末にリフォームして、やっぱりやってよかったなって思っています。
主:住んでいれば、どうしても故障したり交換が必要になってきますよね。
そんな時に柿崎さんに電話すると、「どうもどうも〜」って、昔と変わらない調子で電話に出てくれるんです。
奥:毎回、こんなことで電話していいのかなって私は思っちゃうんですけどね。
主:何かあったらすぐ相談できる。だから今回もお願いしようって。
毎回届くコスモホーム通信も楽しみにしているんですよ。アットホームな雰囲気が伝わってきていいなと思っていて。
柿:顔を合わせるのが基本と思っていますが、会う時間を作るのはなかなか難しいものです。そこで、少しでもつながりを感じてもらえたらと思って始めたのが情報誌『コスモホーム通信』です。
おかげさまで「楽しみにしてる」「読んでる」と言われることも増えました。読むと“会っていないけど会ったような感じ”がするみたいです。
◆こだわりが、暮らしをつくる
柿:これから家づくりを考えている方へ向けて、アドバイスをお願いします。
主:こだわりがないとダメですよ。自分なりのこだわりを持っていけば、必ず叶えてくれますから。
奥:家づくりを始めた頃に、動きやすさや置きたいものを全部書き出してって言われたのは、本当に良かったと思っています。あれこれ悩むより、動線や物の把握って大事なんだなって。
主:どこに誰がいるか、ちゃんと感じられる家にしたかったんです。子どもたちがそこにいる、その気配を感じたいというか。キッチンで何かしていても、「今あっちで遊んでるんだな」とか、そういうのが自然に伝わってくるような。
だから、「飾り棚があったらいいんじゃないか」とか、「吹き抜けにすれば子ども部屋の様子がわかるだろう」とか、そんな話をしながら、ひとつひとつ形にしてくれたのがありがたかったです。
会話を重ねながら、一緒に進めてくれたことが、今でも印象に残っています。
もし「この形からしか選べません」なんて言われていたら、きっとその場で“さよなら”していたと思う。
柿:家づくりに限ったことではありませんが、相談する相手によって答えがまったく変わってくる。だからこそ、ちゃんと話を聞いて、一緒に考えられることがすごく大事だと思っています。
もちろん、すべてが完璧に叶うわけではないけれど、寄り添いながら、少しずつ答えを見つけていく。そして、暮らしに合った形を一緒に作り上げていく。
そんな話し合いができていた、というところでしょうか?
奥:そうですね。理解してもらったことが大きいです。
私たちにあった暮らしやすさを話し合えたから、この家ができたと思います。
主:この関係性があるからいつでも頼れるし、だから絶対おすすめ。会社の同僚にも勧めましたからね。「絶対間違いない」って今も思っていますよ。
柿:“建てて終わり”という関係性に不安を感じる方も少なくありません。家を建てた後のメンテナンス、リフォームや点検など、皆さんが悩まれるポイントでもあります。
しかし、建てた後にどう関係を築いていくかは、簡単なことではありません。
20年も経ってから「こんにちは」と突然訪ねても、「ああ、どうも?」で終わってしまうかもしれない。それでは、そこから深いお付き合いを続けていくのは難しいですよね。
だからこそ、私たちはそうならないようにしたいと思っています。
今日はお二人とお話しできて、これからの仕事にとっても非常に貴重な学びになったと感じています。ありがとうございました。